有名な急性気道感染
慢性の疾患の場合は各種専門医の領域になるので主に急性の経過をとる疾患について述べる。日常的にかかわる疾患としては以下のようなものがある。なお、中耳炎と副鼻腔炎に関しては厳密には気道感染とは言わないものの専門医のもとで治療を受けない場合が多いのでここで説明する。
かぜ症候群
くしゃみ、鼻水、鼻閉、微熱、倦怠感、頭痛、食欲不振といった漠然としたいくつかの症状が比較的緩徐に出現するのが特徴である。ライノウイルスやコロナウイルスが原因であることが多く、基本的に抗菌薬を用いる必要はない。診断がついた場合は対症療法を行う。症状をとるには漢方薬が非常に有効な場合が多い。その他には鼻づまりには抗ヒスタミン薬、熱、頭痛などには解熱鎮痛薬が用いられる。特によくつかわるのがPLという合剤である。意外なところだが高齢者にPLを用いると尿閉やふらつきによる転倒が起こったり、抗ヒスタミン薬による眠気で事故になったりすることがある。これらの薬をやみくもに医師に求めるのは非常に危険である。近年は多くの薬局で処方薬の説明を受けられるのでリスクも納得の上で服薬することが望ましい。くしゃみ、鼻水が慢性にある場合はアレルギー性鼻炎でありかぜ症候群ではない。
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咽頭炎
かぜ症候群と異なり、急激に症状が出現する。咽頭炎の症状としては急性の高熱、喉の痛み、腫れであり咳や鼻水はあまりない。原因としては60%がウイルス性であり、40%が細菌性であると言われている。重要な鑑別疾患としては伝染性単核球症、ジフテリア、HIV、淋病、亜急性甲状腺炎、咽頭結膜炎などがあげられる。特に伝染性単核球症の場合はペニシリンを用いると皮疹が生じることが知られているためできるだけ鑑別をつけたいところである。血液生化学検査や免疫学的検査でも区別は可能だが、頸部リンパ節触診もかなりの確率で診断の手助けとなる。胸鎖乳突筋より前にある前頸部リンパ節に圧痛がある場合は細菌性咽頭炎であることが多く、胸鎖乳突筋より後方にある後頸部リンパ節に圧痛があるばあいは伝染性単核球症である確率が高いと言われている。細菌性咽頭炎の場合はほとんどの場合は化膿性レンサ球菌が原因であるため、ほとんどの場合はペニシリンが著効する(溶連菌のペニシリン感受性は100%である)。